市川市
都心まで3路線利用可の「本八幡」 50万都市の中心駅の実力は?
住んでみたい街の理想と現実には、得てして大きな差があるものだ。憧れのあの街は果たして本当に素敵な街なのか? まったくノーマークだけど、実は住みやすい街は? 今回は「本八幡(千葉県市川市)」について、ライターの金子則男氏が解説する。
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東京都内の地下を縦横無尽に走る都営地下鉄は、基本的にすべて都内を走っていますが、唯一の例外が今回紹介する本八幡。東京近郊には「代々木八幡(よよぎはちまん/小田急線)」「八幡山(はちまんやま/京王線)」という駅がありますが、こちらは「もとやわた」です。
鉄道状況は良好。都営新宿線では始発駅なので、座って通勤することが可能ですし、JR総武線で錦糸町や秋葉原、東の船橋や千葉にも1本。さらに、ほんの数分歩けば京成八幡駅もあり、成田空港へのアクセスもスムース。都心に向けて3路線もの選択肢があるのは大変贅沢なこと。事故や災害時の備えの意味でも、代替路線がいくつもあるのは心強いでしょう。
その一方で、道路状況はこれまで酷いものでしたが、つい最近、状況が少しだけ改善しました。駅の北側を通る国道14号線を筆頭に、基本的に駅周辺は道が狭く、その道を路線バスが窮屈そうに走るのが本八幡の日常風景。駅周辺やニッケコルトンプラザ付近など、とにかく渋滞が酷い街でした。京葉道路の市川出入口があるため、東西方向の移動はまだ便利でしたが、縦方向の移動は道路状況がメチャクチャで、松戸や柏方面に抜ける道はありませんでした。
しかし今年6月、長い間工事を続けていた外環道の市川市部分がようやく開通。一旦都心に入らずに常磐道や東北道を利用できるようになり、外環道沿いの新三郷や越谷レイクタウンなど、大型商業施設の集中ゾーンへのアクセスも格段に良くなりました。
駅前は“県庁所在地レベル”に繁栄
約50万人の人口を抱える市川市には「市川駅」がありますが、市役所の最寄り駅は本八幡で、事実上の市の中心は本八幡です。駅周辺は、千葉県の総武線ユーザーにはおなじみの「シャポー」をはじめ、さまざまな商業施設がひしめき合っており、再開発計画で次々と商業ビルが誕生。タワーマンションも建ちました。
50万人都市の中心駅ともなれば、駅前の栄え方は地方の県庁所在地レベル。都銀の支店、様々なチェーン系の飲食店や居酒屋、ボーリング、カラオケなど、あらゆるものが駅前に揃っており、多くの人で賑わっています。駅から徒歩10分弱のニッケコルトンプラザは、大規模ショッピングセンターの草分け。買い物や映画が楽しめます。
東京駅や大手町など、東京の最都心部まで30分程度ですし、都営新宿線の急行なら新宿まで29分。そんな便利な場所にありながら、家賃相場はワンルーム・1K・1DKで7.14万円(ライフルホームズ調べ、8月28日時点)。風情などには欠けるかもしれませんが、便利なことは間違いないので、通勤・通学が1本で通えるような人は、十分検討に値する街だと思います。